この記事は2016年6月9日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.32 2016年6月号
竹久夢二ゆかりのお菓子
「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬそうな」
画家で詩人の竹久夢二の代表作『宵待草』の花が咲き始めました。
その名を聞いただけでも、なんともロマンチックな名前の花ですが、植物学的には「マツヨイグサ(待宵草)」が正式です。
開花期は春から夏(多くの花図鑑には5~7月とあります)ですが、咲き始めの今頃が最も美しいと聞き、ぜひとも見に行きたくなりました。
「はてな、どこに行けば宵待草に逢えますか?」
とお詳しい方に尋ねると、「竹久夢二碑の敷地内」。
「なるほど、まさに!(笑)」という事で、日没に合わせ、夢二碑のある、銚子市海鹿島町を訪れました。
心の中で(お邪魔します)とつぶやいて敷地に入らせて頂くと、詩碑の前に咲く宵待草が潮風に揺らぎながら出迎えてくれました。
高さ30cm位の背丈の茎の上部に、二個、三個と黄色い花を付けています。
宵を待って花が咲くから宵待草。
夕方にそっと咲き始めた黄色い美しい花は、一晩中咲き続け、朝方には萎み赤く変色してしまいます。
なんとも、はかない一夜花だという事を夢二は知っていてこの詩を詠んだのでしょうか?
どうすることもできない思い人への切ない気持を、美しくもはかない宵待草と重ね合わせたのでしょうか・・・。
ひと気のない夜中に咲くのですから、美しいその姿をせめてお月様だけにでも見守ってもらえればいいのにな・・・
と思いながら宵待草を後にしました。
さて、この地で実際にあった夢二の淡い恋の物語が、いま、『銚子浪漫ぷろじぇくと』さんによって、語られ、歌われています。
そして、この活動がご縁となり当店でもこの度、竹久夢二ゆかりのお菓子『宵待草 木の葉パン』を完成させました。
夢二のお菓子を味わい、大正ロマン気分に浸ってはいかがでしょうか?
夢二の「宵待草 木の葉パン」
追記:終売致しました。