コラム

定番への信頼とバリエーション

この記事は令和3年(2021年)6月15日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。

 

テレワークや外出制限による巣ごもり消費の影響でお菓子を買う機会や食べる時間が増えているそうです。

そこで今回は、今どんなお菓子が流行っているのか、また菓子メーカーはどんな取り組みをしてきたのかについてお話したいと思います。

 

お菓子業界側から見た、お菓子のトレンドをざっくり振り返ってみます

国内のお菓子のトレンドの流れを見ますと、1990年代前半までは、お菓子は主に子供のための物でした。

しかし、子供による菓子の需要が減ると、菓子メーカーは大人にもターゲットを広げ、90年代後半には大人の菓子の喫食が増加しました。

 

2000年代後半には、チョコレートの健康ブームが起こり、各メーカーから健康訴求した商品が出ましたが一過性なもので終わりました。

 

2010年代には、「プチ贅沢」という言葉とともに「プレミアム商品」が拡充されました。

 

2015年には機能性表示食品制度が創設され、健康志向が定着しました。

 

2020年にはオリンピックによる外国人需要を見据えた抹茶菓子や桜、富士山のパッケージが目立ちました。

 

今、お菓子業界が力を入れていること

そして2021年となった今、スーパーの菓子売場を楽しませてくれているのが、ロングセラー商品のバリエーションです。

(スーパーに限らず、コンビニでもです)

各菓子メーカーは、長くお客様に愛されている看板商品の新バリエーションを次々と発売しています。

この「懐かしいけど新しい」商品は「魔法のお菓子」と呼ばれ、一度は食べてみたくなるという不思議な魅力を持っています。

皆さまもお気に入りのお菓子のバリエーションが新発売されると気になりませんか(笑)

これは、定番商品への信頼があってこそのバリエーション商品への期待があるのだと思います。

 

当店でも「懐かしいけど新しい」を新発売!!

さて、当店では、この度、千葉県ご当地パン『サンオレ』の姉妹品を新発売いたしました。

サンオレは、1967年に発売開始し、今年で54年になる超ロングセラー商品で、新鮮卵を使った自家製タマゴサラダが入った調理パンです。

今回、サンオレの発売から54年目にして初めてのバリエーション商品の誕生となります。

その名も『サンオレ・パティシエール』です。

フランス語でカスタードクリームを「クレーム・パティシエール」といい、新鮮卵を使った自家製カスタードがたっぷり入った菓子パンスイーツです。

 

サンオレ

【調理パン】 新鮮自然卵で作った自家製タマゴサラダ入り

サンオレ

 

 

 

サンオレ・パティシエール

【菓子パンスイーツ】新鮮自然卵で作った自家製カスタードクリーム入り

サンオレパティシエール

 

どちらも新鮮卵とパンの組み合わせで、見た目もそっくりですが、それぞれの個性を生かした自信作となっております。

また、自家製タマゴサラダ自家製カスタードと、どちらも“自家製で、当然、毎日手作りしています。

 

新発売の『サンオレ・パティシエール』が購入できるお店は、2021年6月29日現在ですと下記の通りです。

イオン銚子店 1F 食品売場 サンドイッチコーナー

 

 

自然卵とは?

自然卵とは、あらかじめ割って中身を集めた液卵や冷凍卵などの加工卵ではなく、殻の付いた自然な卵のことです。

お菓子を作る工程で、卵の殻を割る作業は大変時間がかかるものです。

また、卵の殻がお菓子に混入しないように細心の注意を払います。

一方、あらかじめ殻を取り除かれた状態の液卵を使えば、作業時間も短縮できる上、卵の殻が混入する心配がありません。

現在国内では多くのパン工場、菓子工場で液卵や冷凍卵などの加工卵が使用されています。

しかし、液卵や冷凍卵で作ったお菓子を比較すると、お菓子の風味や美味しさに大きな影響が出ることがわかりました。(当工場内で比較)

従いまして、当店では毎日、養鶏場から届く新鮮な自然卵を使い、製造する直前に卵の殻を割り、パンやお菓子を製造しております。

ある医師が収穫したての野菜等、鮮度の良い食べ物には、“ミラクルコエンザイム”が含まれていると本を出されていました。

“ミラクルコエンザイム”という名称はどうであれ、新鮮な食べ物には古い食べ物にはない栄養素が当然含まれていると私も思っています。

逆に言えば、新鮮な食べ物に元々含まれている栄養素が人間の利便性のために失われているということが言えます。

トウモロコシも穫れたては、ものすごく甘いですよね。

液卵が悪いということを言っているのではありません。

その工場の考え方や環境によって色々な製法があって良いと思います。

ただ、このように発言していくことで、もしかしたらかつての「食べたくない不自然なプリン」発言の影響のようなことが起こるかもしれません。

2012年に私が「食べたくない不自然なプリン」について書いて以来、その発言が業界メーカーの多くの担当者様の目に留まり、今では大手メーカーから発売されるプリンの中に「卵の自然な力で固める」というフレーズにこだわった商品が増えてまいりました。

「食べたくない不自然なプリンのお話」はこちらのページ内に今も載せています

そもそも、私がコンビニのプリンに対して、「食べたくない」と思ったのは、(あまりに有名なメーカーなので名前は公表できませんが)ある有名コンビニのデザートを製造している有名工場の工場長とプリンについてお話をさせていただいたことがきっかけです。

あれから10年近くが経ちますが、コンビニのお菓子は以前よりも質が向上していると思います。

話がだいぶ長くなりましたが、そういった理由で当店では、殻付きの卵、いわゆる自然卵を使用しております。

 

 

山口由美子

大正3年創業 山口製菓舗 専務。1967年生まれ、おうし座。生まれも育ちも千葉県銚子。 趣味はギター弾き語りです。宜しくお願い致します\(^o^)/

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