この記事は2015年5月21日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.25 2015年5月号
特産品からわかる気候風土
気候風土と特産品とは切っても切れない因果性があります。
その土地の気候風土があるからこそ、その土地の名産品が生まれるのです。
その土地の気候風土は、そこに住んでみないとわからないですが、特産品は今や町ぐるみでPRしますから簡単に知る事ができます。
ですので、その土地の特産品を知る事で、その土地の気候風土を想像する事ができます。
温暖な気候の銚子は醤油の町
例えば、銚子は、昔から醬油醸造が盛んです。
醬油は発酵食品ですから、ほどよい湿度と25~30℃前後の安定した温度が必要です。
醬油は6ヶ月から1年という長い年月をかけて造られますから、一年中安定した気温である事が求められます。
電気のなかった昔から醬油造りが盛んであった事は、昔から銚子が年間通して温暖な土地であった事がわかります。
それにしても、やれ温度だ湿度だと一年も手間暇かけて造る醬油ですが、その割に安価ですね。
水を買うのが当たり前の時代になりましたが、水と比べると醬油がとても安く感じます。
ゴクゴク飲んで消費するわけでもないですし・・・。
余談ですが、私が子供の頃、祖母の家では、お新香をつけるのに、小皿にそそいだ醬油を戸棚にしまって、次の食卓に再び出して食べていました。
これ、実は健康生活だったのかも!?
最近になって思うのですが、実は、これは大変な健康生活だったのではないか?
という事です。
①小皿に醤油を注ぐ。
②お新香をつけて食べる。
③醤油が残った小皿を戸棚にしまう。(もちろん常温管理)
④次の食事の時に、また、お新香をつけて食べる。
この小皿の醤油に自然界の酵母が付着して生きていますね。
お新香の野菜の酵母や、かつお節の酵母などの、きっと体に良いモノが生きていますね。
昔の自然ライフのこういうモノが人間にとって本当にやさしい食べ物環境で大事なんだと思います。
お話を戻しますと、
戸棚の無いもっと昔はどうだったのでしょう?
その後、冷蔵庫が普及し、今では新鮮さを売りにする特殊パッケージ式が各醬油メーカーから商品化されていますね。
時代ごとに保存方法が様変わりしてきた醬油ですが、いつの時代も身近な食品である事に変わりはありません。
これからも、自然の恵みとして、美味しい醬油が銚子から生まれ、銚子の特産品として受け継がれていく事でしょう。
発酵食品って?
さて、そんな醬油は発酵食品ですが、そもそも発酵食品とは何でしょうか?
発酵食品とは、カビや酵母などの微生物の働きによって分解されて変化した食品です。
食品を発酵させることで、高い栄養価や保存性の向上、腸内環境の正常化など様々な効果が得られると言われています。
発酵食品に含まれる成分は病気になりにくい体を作るとも言われていて、その効果は医学的にも研究されています。
発酵の母?
そこで、タイトルを見て下さい。
「発酵の母」。
母とは、私の事ではありませんよ。
発酵の“酵”と“母”で『酵母』なんです。
私は、これを発見した時、思わず一人でニンマリしてしまいました。
なぜ、発酵の母が酵母か、それについては次回号をお楽しみになさって下さい!
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