この記事は2020年10月8日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.84 2020年10月号
今年の雨の多さによる湿気と、夏の暑さは大変なものでした。
ようやく涼しくなりましたが季節の変わり目は寒暖差が大きいので体調にお気をつけ下さいませ。
「かきもち」の始まりは奈良時代よりも前ではないか?
さて、前回の続きですが、かきもちは儀式でお供えした鏡餅を欠いて(割るだと縁起悪いので手で欠いたから欠き餅)焼いたのが始まりです。
そして、そのような儀式は奈良時代には行われていて、儀式の後それを欠いて食べていた事をお話しました。
しかし調べていくと、3~4世紀の垂仁天皇の古墳時代に元旦に神様に鏡餅をお供えすれば幸福になるという「お供え餅の始まり説」もあったのです。
しかしこれは定かではありません。
また、米餅搗大使主(たがねつきのおおおみ)は応神天皇に「粢(しとぎ)」を作って献上し、餅づくりの神様「米餅搗大使主命(たがねつきおおかみぬしのみこと)」として滋賀県の小野神社に祀られています。やはり古墳時代の事です。
粢(しとぎ)とは
米や糯米を粉にして水で固めた物で加熱しません。
米の最古の調理法のようです。
しとぎのままでは消化が悪いので、食べるとすれば寸前に焼いてから食べているはずです。
だとすれば、かきもちの製法に既に近づいています。
お供え餅の始まりは「かきもちの始まり」。
それは古墳時代なのでしょうか?
大昔の米の調理法としては、籾のまま焼いた「焼き米」、ご飯を乾燥させた「干し飯(ほしいい)」などがあります。
当時の状況を想像してみました
ここからは私の想像ですが、そもそも、日本の米作りが縄文から弥生時代に始まりました。
そして、縄文時代には既に「火」をおこしていました。
石器や土器もあります。
人は生活が向上するように、もっと美味しくなるように、道具や調理法を日々工夫します。
米、火、石器、土器が揃っていれば、米を焼く(焼き米)、米を砕いて火にかける、米を砕いて水で固める(しとぎ)、米を水につけて火にかける(飯-めし)、米を砕いて水で固めて火にかける(餅)などは既に作り、食べていたのは間違いないと思います。
かきもちの製法は、糯米を水につける→蒸す→つく→固める→切る→焼くです。
この一連の工程は、縄文時代にも可能な作業ばかりです。
縄文時代にこれらを既に食べていたのでは?
・米を焼く(焼き米)
・米を砕いて火にかける
・米を砕いて水で固める(しとぎ)
・米を水につけて火にかける(飯-めし)
・米を砕いて水で固めて火にかける(餅)
これらを作って食べていたとすれば、数日経って固くなった餅を割って、焼いて食べるのが自然の流れです。
奈良時代よりも前の古墳時代、古墳時代よりも前の縄文時代に「かきもちの始まり」があったと思いません?
と私は思うのです。
ただ、「神様にお供えした餅を石器で割るのは忍びないから手で欠こうよ」という思いがあったかどうかと言われると私も自信がありません(汗)。
まだまだ「かきもちのルーツ」次号に続きます。
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