この記事は2020年11月8日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.85 2020年11月号
今までは神様にお供えした鏡餅をかきもちにしていましたが、
いよいよ本格的な「かきもち作り」が始まりました!
かきもち、あられは関西に多い?
江戸時代になると、糯米の生産量が安定し、かきもちやあられにするための餅が作られるようになりました。
あられやかきもちが関西に多いのは、原料である糯米の生産地が関西に多いためです。
逆に、粳米が原料の煎餅は関東に多いです。
あられ、かきもち ➡ 関西に多い
煎 餅 ➡ 関東に多い
「かきもちの歴史は米の歴史」とシリーズ冒頭で申し上げましたが、
調べていくうちに、米が主食の私達日本人にとって
米が原料である「かきもち」や煎餅がいかに身近であるかがわかりますね!それもかなり昔からなんですから。
豊臣秀吉にも愛されたかきもち
この人も大好きでした。
「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」
不可能を可能にしてしまう男、
農民から一代で天下人になった、日本一出世した人、豊臣秀吉です。
秀吉が太閤になっても大好物で食べていたのが「かきもち」です。
戦にも持参したそうです。
「かきもち」は保存食として持ち歩ける事も重宝だったのだと思います。
昔は、米を作っていた農民はそのほとんどを年貢として納め、自分達は米をほとんど食べる事ができませんでしたから、米を加工品にする余裕などなかったと思います。
おそらく秀吉が「かきもち」を食べ始めたのは家を出て放浪を始めてから行った先で食べたのではないかと思います。
2016年10月号『秀吉も愛したかきもち』でも書いていますので宜しければご覧下さい^^
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秀吉も愛したかきもち
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徒然草に登場する「かいもち」は「かきもち」か?
書物では、吉田兼好の『徒然草』に「かいもちひ」(かいもち)が度々登場します。
「かいもち」は今の「牡丹餅」とも「そばがき」とも言われています。
・・・がしかし、「かきもち」説もありましたので
私なりに考えてみたいと思います^^
「かいもち」に漢字をあてた場合、
「掻いもち」だとすると生地を指先で掻いて集めて作る「牡丹餅」か「そばがき」であろうし、実際、「そばがき」は「蕎麦搔き」と書きます。
また、「欠いもち」だとすると鏡餅を手で欠いて作る「かきもち」だと想像します。
「かいもち」に漢字をあてた場合
「掻いもち」だとすると・・・➡ 牡丹餅かそばがきの可能性が考えられる
「欠いもち」だとすると・・・➡ かきもちの可能性が考えられる
さて次はどうでしょうか?
酒の席で「かきもち」をお出しするか?
ビールのおつまみに柿の種なら食べるけど・・・
徒然草の中では、「一献に打鮑、二献に海老、三献にかいもちひ」とあります。
打鮑(うちあわび)とは?
アワビをスライスして干した物
酒のもてなしの献立としては、かきもちではないような気もします・・・。
やはり「牡丹餅」か「そばがき」と考えるのが自然です。
いかがでしたか?
次回は、「かいもち」が登場する面白いお話をご紹介しながら「かきもち」についてもう少し考えてみたいと思います。
では風邪をひかないように次回までお元気でお過ごし下さいませ!
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