この記事は2020年6月17日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.80 2020年6月号
私が「かきもち」を好きになったきっかけ
前回の「千葉県民は煎餅好き」が大変好評でしたので、今回は私の「かきもち」に対する思いをお話させて頂きます。
私も旦那も菓子やパンを作る職人ですが、自分達で作った製品の中で毎日食べている物があります。
それは「かきもち」です。
私が嫁に来た頃は、旦那が毎日「かきもち」を食べるのを見て「随分かきもちが好きなんだなぁ」と思っていました。
当店は今年で創業106年になります。
高度経済成長期には工場も大忙しとなり、製品の一部を外注するようになりました。
戦前から作っていた「木の葉パン」や「かきもち」も自家製せずに仕入れるようになりました。
という訳で、私が嫁に来た頃の「かきもち」もまだ外注品でした。
この「かきもち」は常に我が家のテーブルの上にあったのですが、見た目が固そうで私は何となく手が出ずにいました。
ところが、嫁に来て3年目のある日、小腹がすいていた事もあり試しに食べてみると、「美味しい!今までイメージしていたのと違う」。
好きな物は自分で手掛けたい!
嗜好品とは不思議なもので、その味を知った直後よりも、それを食べ続けてある程度年月が経ってからの方が、ただ単に味だけでなく製品に対する信頼度も増して、しみじみと美味しさを堪能できるのだと思います。
「これこれこの味」。
私は、「かきもち」の虜になると、何がなんでもこの味を自家製にしたいと思うようになりました。
「かきもち」を自家製する事が私の胸に秘める3大事業の一つとなりました。
より良い製品を作る為「素材と製法」にこだわる!
あれから20年。
念願は叶い、今では自家製となった「かきもち」が我が家のテーブルの上に常備されています。
そして、この「かきもち」は、とても素材にこだわっています。
一度、いつもの油が欠品の為他メーカーを使用してとんでもない事が起こりました。
油の匂いが強く、米やエビやゴマや青のりやカツオと言った、せっかくの自然素材の風味を台無しにしてしまい、「大好きな味をどうしてくれるんだ!」とお客様から大変なお叱りを受けました。
ロングセラー商品や嗜好品には特に大きな信頼を寄せて下さっている事を痛感し猛省したのでした。
それ以来、今まで以上に素材と製法にこだわるようになりました。
平成29年には、全国菓子大博覧会で功労賞を受賞しました。
こだわりが実りました。
地味かもしれませんが、私は人生の菓子業後半を「かきもち」に捧げたいと思います。
そして一番の実りは、お客様に「美味しい」と言って頂くことです。
銚子から全国にお届けできるよう素材と製法にこだわり頑張ります。
全国菓子大博覧会功労賞受賞
国産餅米100%『揚げかきもち』
自然素材にこだわった4種類(かつお、えび、青のり、黒ごま)
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