コラム

私の原点はじめての料理本

この記事は2014年7月1日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。

 

コラム『おいしい おしゃべり』VOL.16 2014年6月号

憂鬱な水曜日の唯一の心のよりどころとなった本

父親の押しつけで5年生にもなって初めてピアノを習う事になった私は、自分より幼く、上手な子供達とのレッスンが嫌で嫌でたまりませんでした。

水曜日が嫌いになったのもピアノ教室へ通う日だからであって、せめて3、4歳の頃から習わせてくれれば良かったのにと理屈をこねては嫌々通ったのを鮮明に覚えています。

ただ救いだったのが、ピアノ教室の近くにある本屋さんでした。

大嫌いなレッスンを終えた後、バスの待ち時間に本屋さんへ立ち寄るのは子供ながらに何とも言えぬ至福のひとときで、地獄が終われば天国が待っている、という感じでした。

私は、この本屋さんのおかげで、毎週水曜日がなんとか救われていましたし、嫌いなピアノの反動で、お菓子や手芸やマンガ描き等のハンドメイドの世界に出逢う事ができました。(反動でハンドメイド、ダジャレです、汗)

当然ですが、本屋さんには本がたくさんありましたが、子供の頃は好きな物が特別に光って見え、たくさんある本棚から、すぐに見つけ出し、出逢ったのが、小学館から出ていた「入門百科シリーズ」(各450円)で、お小遣いを貯めては、買い集めました。

今でも大切な宝物です。

家庭以外の料理を知りショックを受ける

このシリーズの一番最初に買った「たのしいクッキング」は、私が生まれて初めて買う料理本となりましたが、最初のページが、「ハムのパイナップルのせ」で、それは衝撃的でした。

ハムと言えば、醤油かソースかマヨネーズでしか食べた事のない私には、ハムと甘いパイナップル缶詰を合わせるなんて、いくらピクニック料理とは言え、はしゃぎ過ぎた結果のメニューだとしか思えませんでした。

後に、外国では、肉に甘いソースをつける事が日常的だという事を知った時、ハムとパイナップルの組合せの事を思い出しました。

ですので、酢豚にパイナップルを入れたメニューと出逢った時にはもう驚きませんでした。

カナッペという料理を知ったのもこの本ですし、「コーラにアイスクリームを入れるだけで喫茶店のコーラフロートになる」、を実現する為に、足のついた背高のグラスを買いに賑わう銀座通りに出掛けたりしました。

しかし、小学生の女子というものは、どちらかと言うと、料理よりもお菓子作りに興味があるのは、いつの時代も同じなのでしょうか。

この本には、お菓子レシピが少ない事が少しだけ不満でした。

とは言え、私の原点となった本ですし、宝物である事は今も変わりありません。つづく・・・

 

 

山口由美子

大正3年創業 山口製菓舗 専務。1967年生まれ、おうし座。生まれも育ちも千葉県銚子。 趣味はギター弾き語りです。宜しくお願い致します\(^o^)/

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