この記事は2013年6月30日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.4 2013年6月号
童話に登場していたプディング
外国の童話の中には、よくお菓子が登場します。
プディングもその一つ。
『赤毛のアン』ではプラム・プディング、『鏡の国のアリス』では干しブドウ入りプディング、『帰ってきたメアリー・ポピンズ』では蜂蜜入りのライス・プディング、『風にのってきたメアリー・ポピンズ』ではヨークシャ・プディング、『ピーターラビット』ではローリー・ポーリー・プディング・・・と、誰もが知っている有名な童話をざっと挙げただけでも、その物語の中には様々なプディングが登場します。
子供の頃には、聞きなれない、この“プディング”という少し言いにくい発音の夢のお菓子は、それはそれは私の想像を膨らませてくれました。
世界のプリンって甘いとは限らない?
プディングがプリンだという事は今では誰もが知っていますが、外国の童話に登場するプディングは、私達が認識している、いわゆるプリンとはちょっとだけ違います。
プディングとは、イギリスで発祥し、小麦粉(くずパン粉の時もある)、米、肉、卵、牛乳、フルーツなどを混ぜて、煮たり蒸したりして固めた料理のことで、甘いデザートとは限らず、塩や香辛料で味付けしたメイン料理まで幅広くあります。
だから物語に登場するプディングには、ライス・プディングだったり、プラム・プディングだったり、いつも、なにがしプディング、というふうな名前なのです。
要するに、「プディングできたわよ~♡」と言えば、「なんのプディング~?」という具合でしょうか。
ちなみに、ヨークシャ・プディングとは、プディングとは言ってもだいぶ様子が違うシュー皮のような物で区別した方がよいと思います。
日本のプリンといえば、やっぱりカスタードプリンでしょ♪
さて、プディングの中でも私達日本人に一番身近なプディングはなんでしょう?
卵、砂糖、小麦粉、牛乳で作った、とろみのある甘い物体をカスタードクリームといいますが、この材料を用い、蒸し固めた物をカスタードプディングといいます。これが、私達が一般的にプリンと言っている物です。
どうしてプリンは人気があるのか?
プリンは、アイスクリームと共に、日本では一番身近なデザートではないでしょうか?
その証拠に、コンビニやスーパーでは色々な種類のプリンがズラリと並んでいます。
なぜ、こんなにもプリンは人気なのでしょうか?
私は、プリンには愛される“癒しのメカニズム”がある事に気づきました。
ぜひ説明させて下さい。
プリンが癒しの理由その① ほどよい弾力とやわらかさ♡
毎月25日はプリンの日。プリンを食べると思わずニッコリするから、「ニッコリ=25」の語呂合わせだそうです。
確かに、プリンを食べるとニッコリなりますよね。なぜでしょう?人は強い物に憧れ、弱い物に癒されます。
自分の生命を守るため強さが必要ですし、相手が無抵抗で危害を加えない事がわかると安心します。本能なのです。
言い換えますと、人は固い物に憧れ、やわらかい物に癒されます。弱くて、やわらかい物と言えば、私が真っ先に思いつくのが赤ちゃん。
赤ちゃんを見ていると癒されます。
プリンが癒しの理由その② 甘さ
人は甘い物を口にすると快感中枢を刺激され、脳内に良い物が分泌されます。
名前なんてどうでも良いのですが、一応この物質をエンドルフィンと言います。
甘い物を食べると、脳内に良い物が分泌され、心がやすらぎ、また病気への抵抗力を強めるいう事が解明されています。
プリンが癒しの理由その③ 舌のやりがい
私達は、食べ物を味わう時に、まず食べ物を口に入れ、噛んでから、もしくは噛みながら舌で味わいます。
ところが、やわらかいプリンはどうでしょう?
口に含んだ後は、いきなり舌でプリンを押し潰しながら味わいますよね。
味覚を認識する感覚器である舌が、歯には頼らず、自分の力だけで食べ物を原型から砕き、舌で割って入り、自由に味の認識過程を楽しむことができるのです。
舌も時には歯に頼らず、自分で出来る事は自分でやりたいと思っているに違いありません。
舌は、部位によって感じやすい味があると昔習いましたが、その説を否定している記事を最近見つけました。
ですが、それにしても、食べ物が有する複雑で微妙な味を楽しむ為、私達は食べ物が舌の側面や下側に行き渡るよう舌を自由に遊ばせます。
私はオレンジジュースを飲む時は、ジュースが舌の両側面に行くようにすると、余計に美味しく感じます。
こういう事は、専門のお医者様とワインを飲まれる方がお詳しいのかなと思います。
歯に頼らずいきなり舌で味わう点でいえば、液体状の物も同じ事ができるのですが、それだと食べ物を“破壊しながら味わう”という楽しみがありません。
程良い弾力のぷるんぷるんのプリンが丁度いいのです。
歯で噛む事で消化を助け、脳に刺激を与え、健康に良い事は言うまでもありませんが、一方で、味覚センサー自身そのものでプリンを砕きながら行う摂食動作は、おそらく、やはり脳内に良い物が分泌されている気がしてなりません。
なぜプリンが癒しなのかまとめると
やわらかく、甘くて、舌で押しつぶしながら食べるぷるんぷるんのプリンは、癒しのメカニズムがギュッと凝縮された愛されるスイーツキングと言って良いと思います。
私も作りました!しかも、銚子名物『伊達巻』プリンです\(^o^)/
実は、私も、最近、プリンを作りました。
ホームページで“手作りへのこだわり”の中で、プリンを一例にあげて手作りの良さについてお話している位なので、いつか商品化したいと思っていましたが、今回ようやくその夢が叶いました。
そのプリンは、ズバリ! 卵、砂糖、牛乳を混ぜて蒸し焼きにしただけ。
それだけだと、「な~んだ」と言われそうなので、ちょっとだけ自慢します。
卵は新鮮自然卵を使っています。
養鶏場から届く新鮮で、なおかつ、液卵や冷凍卵ではなく、殻のついた、普通の卵の事を自然卵といいます。
業務用では、利便性の高い液卵を使う事が多いようですが、私は殻つきの物を使います。
そして、凝固剤を使わず、卵の自然の力だけで固めています。
昔、家庭科の教科書に載っていたような、普通のシンプルなプリンです。
とろける、ゆるいプリンがブームの中、なんだか流行を無視したような、固焼きの昔懐かしいプリンですが、私が商品化する一番最初のプリンはコレ!と決めていた、手作りの素朴なプリンなのです。
自然な甘さと卵の濃厚なコクをお楽しみ頂けます。
その商品は、『伊達巻プリン』です。
自然の卵の栄養が一番です!
面白いことに、卵、砂糖、牛乳のまったく同じ材料で、厚焼き玉子とコップ一杯の牛乳、というメニューを作る事もできます。
言い換えますと、プリンは、厚焼き玉子1個と牛乳一杯を飲んだのと同じ栄養があると言う事です。
食欲のない時、忙しい朝、栄養たっぷりで喉ごしの良いプリンは食事代わりにもオススメなのです。
ぜひ、朝食に、おやつにいかがでしょうか?
自然な栄養と自然なおいしさは心からおすすめです!
プリンのお話でした\(^o^)/