この記事は2015年2月21日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.23 2015年2月号
ケーキの基本材料
小麦粉、砂糖、卵、バター。
これはケーキの基本的な材料です。
この4つの材料の比率や、混ぜる順番を変えると、食感も、風味も、まるで違ったケーキになります。
バターを多くすれば、ぎっしり目の詰んだバターケーキになりますし、卵を増やしてバターを減らせばスポンジケーキになります。
いずれにしても、小麦粉、砂糖、卵、バターは、ケーキ界の四本柱なのです。
同じ意味だけど国によって発想と呼び名が異なる
その証拠に、おもしろい話をします。
イギリスではパウンドケーキ
小麦粉、砂糖、卵、バターを同量混ぜて焼いた物を『パウンドケーキ』と言います。
4つの材料を1“ポンド”(質量を表す単位)ずつ使う事からイギリスでその名が付きました。
フランスではカトルカール
ちなみにフランスでは『カトルカール』と呼ばれています。
カトルは“4”、カールは“1/4”という意味で、4つの材料をそれぞれ1/4ずつ使うからです。
お気づきでしょうか?イギリスのパウンドケーキも、フランスのカトルカールも、「小麦粉、砂糖、卵、バターを同じ分量使うんだよ」、という事を意味しているのです。
早い話が、商品名がズバリそのままレシピになっている訳です。
で、「何を1ポンドずつ入れるのか?」、「何を1/4ずつ入れるのか?」って?
それは説明不要であり、「ケーキを作るんだから小麦粉、砂糖、卵、バターを使う事は当然でしょう。」
という事なのでしょうね。
日本では?
ちなみに、嬉しい事に、日本でも『四度割(よんどわり)』と言う呼び方があります。
材料を四等分で計るからです。
パウンドケーキ、カトルカール、四度割、神秘さえ感じられるこれらのネーミングから、小麦粉、砂糖、卵、バターはケーキ材料の基本であるという事、基本材料を同量ずつ入れたパウンドケーキはシンプルケーキであり、かつスペシャルケーキでもある事が証明されるのです。
パウンドケーキは重い
バターケーキの一種であるパウンドケーキは、ふわふわしたスポンジケーキとは異なり、ずっしり重たいケーキです。
バターを多く使用している為、深いコクがあります。
フルーツやナッツとの相性も良く、バリエーションも楽しめます。
スポンジケーキのようにクリームで頂くというよりは、生地そのものを楽しむのがパウンドケーキです。
パウンドケーキは室温で!
パウンドケーキは室温で食べるケーキです。
バターをたっぷり使っているので冷蔵庫で冷やすと固くなります。
バターを冷蔵庫に入れると固くなるのと同じです。
パウンドケーキ『屛風ヶ浦』のコラボ開発
さて、当店では、この度スペシャルなパウンドケーキを作りました。
地元の高校、県立銚子商業高校の生徒さん達が発案したパウンドケーキ「BYOBU-GA-URA」(屏風ヶ浦)です。
抹茶、プレーン、ココアで作った3色のパウンドケーキで屏風ヶ浦の地層をイメージしました。
中央にはチョコチップで小石を表現しました。
一般的には、生地をパウンド型に入れてオーブンで焼くと、熱で生地が対流し、3色の層をきれいに残す事が不可能なのですが、夜な夜な研究する事1ヶ月。
独特のしっとり感を残しながら、チョコチップを中央の層にとどめつつ、美しい3層に分かれた、世にも珍しいパウンドケーキの製品化に成功しました。
今回の研究は、パン酵母を使った木の葉パンの開発の次に難しかったお菓子ですが、商業高校の生徒さん達にも顔向けができホッとしています。
屏風ヶ浦の地層も貴重ですが、このパウンドケーキもまた貴重です。
この度、銚子商工会議所主催「ジオパーク菓子」にも認定頂きました。
※2020.10.26追記:パウンドケーキ「屛風ヶ浦」の販売は終了しました。