この記事は2018年1月14日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.51 2018年1月号
食レポで一番多いコメント「モチモチ」♪
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。
例えば、テレビでレポーターが何かを食べて表現するときに、「モチモチしていて美味しいです♪」と、よく言いますよね?
また、食品のパッケージなどにも、「モチモチ食感」と、よく書かれています。
この、モチモチ食感について今回は探ってみたいと思います。
「モチモチ」とは当然「餅」のこと
まず、モチモチとは、“餅”のことですよね。
だから「モチモチ食感」とは、「餅っぽい食感」ということですよね。
では、餅の食感とは、どんなでしょう?
お正月に食べたばかりだと思いますので、是非、餅を手で触った時、口に入れた時のことを想像してみて下さい。
「餅」の食感とは?
私は、餅の食感とは、4つの要素で構成されていると思います。
それは、「弾力」「粘り」「湿り気」「濃密さ」です。
ふわふわだけのパンやカステラは弾力はありますが、モチモチとは言えません。
粘りがないからです。
逆に、オクラやすりおろした山芋は粘りはありますがモチモチとは言えません。
弾力がないからです。
よく、餅の表現に弾力と粘りは使われますが、私は、そこに、「湿り気」と「濃密さ」の2つを加えました。
なぜなら、「湿り気」は、やはりモチモチ食感の原理には水気は必要不可欠であるからです。
この説明は後ほどしますね。
そして「濃密さ」ですが、一番わかりやすい例えをすると、肌です。
濃密でキメの細かい肌のことをなんといいますか?
「もち肌」ですよね(笑)
私は、モチモチ食感には、ある程度のキメの細かさ、濃密さがあることが決めてだと思います。
隙間なく目の詰んだ状態の濃密さとは逆に、いわゆる「ふわふわ」はキメが粗く空気を含んだ状態ですから、「ふわふわでモチモチ」というのは相反する表現で、言うのであれば、「ふわふわなパンを口に入れて噛んでつぶして密度を濃くしたらモチモチ食感になった」というのを、略して、「ふわふわでモチモチ」と食レポしているのだと思います。
なぜ日本人は「モチモチ」が好きか?
ちょっと専門的な話になりますが、デンプンに水を加えて火にかけるとネバネバの状態になります。
これを糊化(こか)といいます。
また、デンプンのα化(アルファか)ともいいます。
そして、このネバネバになったデンプンのことをαデンプンといいます。
αデンプンは美味しいし、消化が良いです。
αデンプンを放置しておくと、ネバネバが消え、元のβ(ベータ)デンプンに戻ってしまいます。
身近な物で例えると、米に水を加え加熱すると弾力と粘りが出て、消化の良いご飯(αデンプン)になり、それをラップをかけずに放置しておくと、弾力と粘りと水分が消え、元の米の状態(βデンプン)に戻ります。
炊き立てのご飯は、まさにαデンプンの最高潮であり、みずみずしく粘り気があり美味しい!
そして、消化が良く体にもいい。
この状態こそが、「モチモチ食感」のベースなのではないでしょうか?
そして、それを口に含んで噛むたびにご飯の体積は凝縮され、必然的に密度が濃くなります。
ズバリ!弾力と粘りと湿り気と濃密さがある食感、それが「モチモチ食感」の正体なのです!
昔から米を食べてきた日本人にとって、モチモチ食感は生命をつなぐための安心の味であり、口当たりなのだと思います。
だから日本人はモチモチ食感が大好きなのです。
このモチモチ食感は、米だけでなく、パン、うどんやパスタでも味わうことができます。
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ぜひ、お試し下さいませ。