この記事は2013年12月20日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.10 2013年12月号
ビスケット、クッキー、サブレの違いは?
どういう原理かわかりませんが今年は一年がとても速く感じました。
今年最後のしめくくりは私が今までで一番こだわってきたサブレのお話にしますね。
サブレを知らない人はいないと思いますが、ビスケット、クッキー、サブレの違いは曖昧ではないでしょうか。
(社)全国ビスケット協会によれば、ビスケットのうち、手作り風の外観で、糖分と脂肪分の合計が40%以上の物をクッキーと呼ぶとのことです。
そして、そのクッキーの中の、脂肪分を小麦粉と同量まで配合した物をサブレというそうです。
要は、クッキーよりもサブレの方がバターやマーガリンやショートニングを多く含み、それによってサクサクした食感が得られる訳です。
しかし、この定義は、ビスケットもクッキーもサブレも、たくさんのアレンジレシピが出回っている今の時代にはマッチしていません。
私の区分け法をご紹介!
実は誰も言っていませんが、私の中では一つの区分け方法があります。
それは、膨張剤。
サブレには膨張剤を用いますが、クッキーには使用しないという事です。
これも様々なレシピが自由に存在しますので一概には言えませんが一つの区分け方法にはなります。
ウィキペディアによると
ちなみにウィキペディアによると、ビスケットもクッキーもイギリスではビスケットと呼び、アメリカではクッキーと呼び、アメリカでビスケットとはスコーンのような形状の菓子とあります。
ビスケットの名前はフランスの「ビスキュイ」(二度焼き)から来ています。
サブレはフランス生まれ
更にフランスでは、油脂を多く含んだサブレがあります。
名前の由来は、サブレが作られたフランスの地名であるという説と、またサブレは口に含むと“ほろほろ”と崩れる食感からフランス語で「砂をまく」という意味のサブレになった、など言われています。
日本には、南蛮菓子の一つ、ビスカウトとして黒船と一緒にやって来た事を7月号でお話しました。
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南蛮菓子がやってきた!
この記事は2013年7月31日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。 コラム『おいしい おしゃべり』VOL.5 2013年7月号 ポルトガル船が来た! 何分、遠い昔の事ですので書 ...
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レシピは?
ビスケット、クッキー、サブレのレシピとしては、小麦粉、砂糖、油脂、時には卵や膨張剤を主原料としてこねてカットして焼いた物です。
単純な材料だけで作るだけに素材の良さも出ますが、隠し事のきかない難しい菓子と言えます。
ご当地キャラクター「ちょーぴー」サブレ
最近、銚子のご当地キャラクター「ちょーぴー」のサブレを作りましたが、簡単そうに見えて結構開発に時間がかかりました。
それは、油脂を多く配合し、更に膨張剤を使用するサブレですと、焼き上がった時に、ちょーぴーの大事な顔が寝ぼけ顔になり、ゆるキャラが更にゆる~い顔のサブレになってしまうからです。
実際に、この世には、くっきりと線描きされたサブレはあまり存在しません。
中には稀に、機械制御している所は別ですが、それでも多くありません。
機械大量生産されている、かの有名な美味しい鎌倉の鳩サブレでさえ、鳩の目、羽の筋は薄くぼんやりしています。
逆に、膨張剤を配合せず密度の濃いクッキーは線描きが自由自在にできる為、キャラクターの顔であったり、文字であったりと様々な表現が可能になります。
線描きのサブレはあまり存在しない事を(あったとしてもぼんやりした線描き)、私はサブレの研究の中で発見しました。
国内最大級の菓子の祭典で受賞した「いわしサブレ」と「醤油サブレ」
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全国菓子大博覧会で金賞受賞
この記事は2013年9月14日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。 コラム『おいしい おしゃべり』VOL.7 2013年9月号 2020年の東京オリンピック決定! 2020年夏 ...
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サブレと言えば、今年の全国菓子大博覧会では、いわしサブレが金賞を、醬油サブレは会長賞を受賞する事ができました。
そして、いわしサブレは、サクサクとした食感にこだわり、日々進化しています。ぜひ、お試し下さい。
銚子銘菓 いわしサブレ
まとめ
ビスケットだろうが、クッキーだろうが、サブレだろうが、区分けの線引きは曖昧であっても美味しければ良いと思います。
サブレのお話でした。
冒頭でお話した「一年が早く感じる」についてですが、一説によると人が感じる時間の長さは、自らの年齢に反比例し、アウトプットばかり続けてインプットが少ない大人の時間は短くなるといいます。
来年は、新鮮な経験をして、時間の経過を長く楽しみたいと思います。では良いお年を!