この記事は2013年11月26日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.9 2013年11月号
はじめてアップルパイを食べた時の懐かしい思い出
ほんのりシナモンの香りがして、歯が浮くようなシャワリ、シャワリとした妙な食感。
それが初めてアップルパイを食べた時の私の感想です。
シナモン、入れなくて良いのではないか?
底の生地、フォークで刺すと余計に粉々になるだけで食べれないし、甘いんだか、酸っぱいんだか良くわからない不思議なハーモニーのお菓子・・・。
物語に登場していた憧れのアップルパイに少しがっかりした子供の頃を思い出します。
ところが、今ではダントツ好きなスイーツになったのは、個性の強い香り、味、食感を持つアップルパイは、一度覚えるとクセになるのかもしれません。
アメリカを代表するデザート「アップルパイ」
アップルパイの歴史としては、イギリスやオランダで良く食べられていたデザートでしたが、19世紀にイギリスから来た清教徒によってアメリカで作られて以降、アメリカの家庭料理となりました。
アメリカには「アップルパイのようにアメリカ的だ」という慣用句まであり、アップルパイはアメリカを代表するデザートなのです。
日本にも、お袋の味「味噌汁」があるように、アメリカでも“完璧なアップルパイを焼く事”が主婦の理想の姿らしいです。
旦那さんが母親と嫁のアップルパイを比べて喧嘩になる事もあるそうです。
某ドラマのように「台所を継ぐ言うんは味を継ぐ言うことです」みたいな事を言われるのでしょうか・・・
いろいろなアップルパイ
日本では、ふつう、パイ生地を敷いた上にリンゴの甘露煮を乗せ、また上からパイ生地をかぶせるダブルクラストが主流ですが、その他に、上だけにパイ生地をかぶせた物や、逆に上にかぶせず下だけに敷いたシングルクラストもあります。
また、パイ生地も、バターを折り込むか、練り込むかの製法の違いや、そぼろ状になったダッチアップルパイがあります。
ダッチは「オランダの」という意味です。
アップルパイの主役、リンゴの種類は、酸味と歯ごたえのある紅玉が向いているとされますが、リンゴによって煮方を工夫すれば、ふじやジョナゴールド等、そのリンゴなりの美味しさが味わえて良いと思います。
酸味が足りない時はレモン汁を多めに入れたり、カスタードクリームやレーズン、最近ではスイートポテト風というのもありますね。
私は、ササっと作った家庭的なアップルパイが大好きです。
焼きたてのアップルパイをお供にゆっくりとした時間を過ごし秋を楽しまれてはいかがでしょうか?