この記事は令和4年(2022年)3月9日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。(コラム『おいしいおしゃべりNo.101』)
当店の木の実のタルト
ナッツが体に良いという事でとても人気です。
今回は、ナッツの種類や栄養についてお話したいと思います。
ナッツとは?
ナッツとは、種実類のことで、木の実や種のことです。
植物は、花が咲いて、実がなって、やがて種を作ります。
このうち、ナッツには実の部分を食べている物と種の部分を食べている物とがあり、少しややこしいので私なりに整理してみました。
ナッツの種類
まず種実類は、堅果(ケンカ)、核果(カクカ)、種子の三つに分けられます。
堅果は、外側が硬い殻がある果実の事でクリやヘーゼルナッツがあります。
これは実を食べている事になります。
ヘーゼルナッツの外見はドングリを大きくした感じです。
核果は、中心に大きな種が入っている果実の事で、この大きな種の硬い殻を割って取出した中身を食べているのがアーモンドやクルミです。
これは種の一部を食べている事になります。
種子をそのまま食べているナッツにはカシューナッツがあります。
ピーナツは?
また、ピーナッツは名前や形は似ていても、畑で育てる豆類であり木の実ではありません。
しかし、ほとんどの豆は炭水化物が半分以上を占めるのに対し、ピーナッツの炭水化物は2割程度で半分以上は脂質です。
しかもその脂質の多くが「体に良い油」である不飽和脂肪酸という事で、栄養成分がとてもナッツに似ています。
そして、おつまみにしたり、菓子に使ったりと食べ方や使い方もナッツに似ています。
ですから、文部科学省がまとめる「日本食品標準成分表」では、ピーナッツも種実類に分類されています。
ナッツの輸入量
ちなみに、少し古いデータですが参考までに、2018年の輸入量が多い順に、アーモンド(50.7%)、クルミ(26.5%)、カシューナッツ(14.5%)、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツとなります。
ナッツの栄養
次にナッツの栄養についてです。
ナッツには、「体に良い油」である不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
不飽和脂肪酸はコレステロールを下げる効果があります。
コレステロールが下がると動脈硬化のリスクが軽減します。
不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸(オリーブオイルに多い)のオレイン酸(オメガ9脂肪酸)や多価不飽和脂肪酸(青魚に多い)のリノール酸(オメガ6脂肪酸)など多くの種類があり、特にオレイン酸は抗酸化作用が強いです。
他にも、ナッツには、食物繊維やビタミン、ミネラルがバランスよく含まれています。
個々の特徴としては、アーモンドは脂質の70%がオレイン酸で、ビタミンEも多く含みアンチエイジングに効果的です。
クルミは、体に良いと言われるオメガ3脂肪酸をナッツの中で一番多く含みます。
また、幸せホルモン「セロトニン」の材料となるトリプトファンを多く含みます。
カシューナッツは、脂質の60%がオレイン酸です。
亜鉛はナッツの中で一番多く、たんぱく質もピーナッツを除けば一番多いです。
マカダミアナッツは、脂肪の80%がオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸です。
中でも「パルミトレイン酸」は美肌効果があります。
ピスタチオは、ビタミンB群、食物繊維、カリウムがバランス良く含まれています。
脂質のほとんどが一価不飽和脂肪酸です。
結論としては、ナッツは油っぽく太るというイメージは昔の事で、程よく食べると体に良い栄養が豊富に含まれている、という事です。
程よい量とは、一日に10~20粒位です。
植物の命のはじまりである種には自然のパワーが詰まっているのですね!