この記事は2013年8月17日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.6 2013年8月号
ボーロも南蛮菓子
前回は、ポルトガルやスペインからやってきて、日本のお菓子に大革命をおこした南蛮菓子についてお話をさせて頂きました。
『南蛮菓子』、それは、私の好きな四字熟語でもあります。(笑)
今回は、南蛮菓子の中から『ボーロ』を作ってみたいと思います。
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ボーロって?
ボーロとは、「ケーキ」を意味するポルトガル語からきています。
当時は、「保宇留」(ぼうる)と書かれていました。
小麦粉、片栗粉、そば粉などの粉類、砂糖、そしてなんと言っても特徴的なのは卵が配合されている事です。
いろいろなボーロ
作り方はとても簡単、混ぜて焼くだけですので、もう少しだけ、ボーロのお話をしますね。
ボーロと名の付くお菓子が幾つかあります。
佐賀市の『丸ぼうろ』、蕎麦粉を使った京都の銘菓『蕎麦ぼうろ』、そして、この地域で一番有名なのは、『タマゴボーロ』ではないでしょうか。
タマゴボーロ、卵ボーロ、ベビーボーロなど、色々なメーカーの商品名がありますが、私は“玉子”のイメージが強いので、『玉子ボーロ』とします。
玉子ボーロは大人が食べても美味しい♪
玉子ボーロは、私の経験ですと、赤ちゃんの時に離乳食おやつとして食べました。
次に、身内の赤ちゃんの子守りの時に、赤ちゃんに食べさせながら、つまみ食いして、ついつい赤ちゃんよりも多く食べてしまった、という思い出があります。
玉子ボーロは、カリカリした歯触りと、舌の上でサーッと溶ける食感が特徴です。
昔と違い、たくさんのお菓子で溢れている今の時代に、わざわざ買って食べる人も少ないと思いますが、実は、大人になった今でも「美味しいな」と感じられるお菓子なのです。
また、シンプルな天然材料で作られていて、卵を多く含みますから、栄養価が高くて質の良いお菓子と言えます。
今流行りのスナック菓子のように、パンチのある味ではないのに、玉子ボーロの「やさしい味」は、決して一粒では止まらない、やめられない、クセになる独特の魅力を持っています。
玉子ボーロのおいしさの秘密は“ピュア”にある
玉子ボーロを食べて、なぜ、「やさしい味」と感じるのでしょうか?
キーワードは、純粋(ピュア)です。
では、3つのピュアに迫ってみます。
①シンプルな素材だけで作ったお菓子だから
粉、砂糖、卵、だけです。
シンプルな材料で作られた料理を口にすると、「やさしい味」と感じます。
砂糖だけ舐めても、やさしいと感じますよ。
①シンプルは、ピュアです。
②天然の材料で作ったお菓子だから
人は昔から天然素材を食べて生きて来ています。
昔から食べて続けている物の味は、安心→やさしいと味覚が判断します。
②天然は、ピュアです。
③昔、小さい頃食べた味だから
社会の荒波を経験した後は、尚の事、余計にやさしく感じます。
例えば、玉子ボーロを外国で食べようものなら、一気にノスタルジックな気分になり故郷を懐かしく思う事でしょう。
余談ですが、刑事ドラマで、取調べ中に、刑事さんが「ほれ、カツ丼食うか」と言って、どんぶりのフタを開けると、湯気が立ち上がり、「国のお袋さんに心配かけるんじゃねぇ」と言うと、犯人がホロリときて自供する、みたいなシーンがあります。
これに、玉子ボーロも使えるのではないか、と思います。
遠い昔に食べた、やさしい甘さと口どけは、自分がまだ無邪気で平穏であった頃を思い出させ、郷愁を感じることでしょう。
玉子ボーロは、カツ丼と違って保存がきき、いつでもタイミング良く出せるので便利です。
宜しかったら、お試し頂きたいと思います。
話を戻しますと、玉子ボーロは、純粋(ピュア)だった幼い頃に食べたお菓子なのです。
③幼い頃の記憶は、ピュアです。
やはり、ピュアでつながります。
こうして、ピュアを丸めたお菓子玉子ボーロは「やさしい味」として感じるのです。
では、その玉子ボーロを作ってみます。
レシピ
材 料
- 片栗粉 120g
- 上白糖 40g
- 卵黄 2個分
step
1卵黄と上白糖を混ぜる
卵黄と上白糖をホイッパーで混ぜます。
砂糖のジャリジャリ感がなくなるまで。
ジャリ感がなくなるまで混ぜると、もったりします。
step
2片栗粉を混ぜる
片栗粉は軽いので飛び散らないようにね!
ホイッパーの中に生地が固まって入り込むのが嫌な場合は、
片栗粉を入れる前に木杓子やゴムべらに変えてもOK!
最初はサラサラですが、まとまるように根気よく混ぜて下さい。
step
3手でまとめる
ある程度まとまってきたら手の方が早いです。
最初から手でやってもOK!
取りだし、こねていきます。
生地を作る時に念頭におく事は、生地がこねあがった時に、生地もツヤツヤできれい、ボールの中もピカピカに、作業台の上もピカピカに、すべてきれいになるように、生地カスを残さずこねる事です。
ボールに乾いた生地カスが残るようではダメです。せっかくの配合が違ってきてしまいます。生地カスを軽視すると、メインの生地まで軽視しがちになってしまいます。生地をまとめながらボールの中をころがします。生地カスにまで愛情を入れ、パン作りもそうですが、一工程ずつきれいな生地の状態で次の工程へ進みます。最終的には生地もボールも作業台もきれいになっている事が大切です。
こねていると、だんだん綺麗なツヤが出てきます。
触った感じは紙粘土みたいな感じです。
なめらかな肌になりました!
step
4分割する
同じ大きさに分割します。
棒状にすると均一にカットしやすいです。
(カッパに見える)
残りも棒状にします。
step
5細かく分割する
同じ大きさになるようにカットします。
同じ大きさにしないと、焼き色が均一になりません。
計ったら、1粒だいたい1gでした。
step
6丸める
1粒ずつ丸めていきます。
有野君(よゐこ)の得意な、“ちねり”の作業です。
根気よく。
手早くやらないと、生地が乾いてしまうので注意です!
全部丸めました。
寄り道は楽しいものです。
ギターボーロも作っちゃおう!イエイ!
小さい物とは焼き時間を変えてね。ちょっと長めに。
step
7焼く
170℃で15分。
ご自分のオーブンのクセで調整してね。
step
8完成!
やさしい香りが漂います。
ウラがちょっと色がついてへこんでいる所があの懐かしい形といっしょです♪
ころんころん、とにかくカワイイです。
ハイ!どーぞ♪
ギターはヒビが入ってちょっとトホホな出来栄え。
今回は、ボーロのお話でした!
ぜひ作ってみて下さいね!