この記事は2019年6月11日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.68 2019年6月号
鶏肉はギランバレー症候群の原因?
先日、食品衛生講習会に参加した時のお話です。
講師の方が「生の鶏肉はギランバレー症候群の原因になる・・・」というお話をされました。
鶏肉や豚肉にはカンピロバクター等の食中毒菌がいる事があるため、充分な加熱調理が必要な事は知っていましたが、ギランバレー症候群の原因になるなんて、皆さんご存じでしたか?
ギランバレー症候群とは、筋力が低下し重症の場合には動けなくなったり、呼吸不全をおこす難病です。
カンピロバクターとは?
この病気の原因は、感染症やワクチン等いくつかありますが、感染症の中の一つがカンピロバクターです。
カンピロバクターは、ほとんどの動物にくっついている細菌で食中毒菌です。
特に多いのが鶏肉です。
厚生労働省の検査では、カットされた鶏肉の60%以上にカンピロバクターが検出されたそうです。
カンピロバクターに感染すると、一般的な食中毒の症状が出ます。
その後、ギランバレー症候群になる確率は低いですが、関係性があることは証明されていますのでしっかり予防したいです。
二次感染にも注意!
鶏肉は良く火を通してから食べるのは当然ですが、注意したいのは二次感染です。
買ってきた鶏肉を容器から出して、半分だけ使い、半分は冷蔵庫へしまう、という設定で見ていきましょう。
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1鶏肉を冷蔵庫から出す。(パッケージの表面にも菌が付着しているかも?)
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2鶏肉を手で触り、まな板にのせて、包丁で半分に切る。
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3食べきれないので鶏肉の半分は容器皿に戻す。
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4手を石けんで良く洗う。
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5 鶏肉の容器皿にラップをする。(この時、鶏肉や容器皿に手を触れないようラップする)
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6 冷蔵庫にしまう。
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7まな板の上の鶏肉を包丁で切る。
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8 鶏肉を鍋に入れる。(この時、鍋を手で触らないよう鍋はあらかじめ用意しておく)
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9 まな板と包丁は良く洗う。
ココがおすすめ
できれば、まな板は生食用と加熱用の二つに分ける。
ココに注意
最後の清掃時に三角コーナーに捨てた鶏の皮などを手で触ったら手を良く洗う。
ココがダメ
この工程の④の手洗いを正確にやらず、水でチョロチョロと洗っただけの手で触れたラップや冷蔵庫のドアには、もしかするとカンピロバクターが付いているかもしれません。
次にそれを触った人がその手でミカンを食べたり・・・。これが二次感染です。
目に見えない菌を意識して!
ほとんどの生物は個体が大きい方が強いのに、菌は目に見えないくらい小さくても人間の命を奪うほど強い力を持っています。
むしろ、目に見えないから菌は怖いのです。
これは、日頃から意識するしかないのです。
カンピロバクター食中毒は5月から7月に多く発生しています。今です。
鶏肉はヘルシー♪
鶏のムネ肉は脂肪分が少なくヘルシーなうえにスタミナもつくそうで、私は週に4日は食べています。
ただ、火が通りにくいので薄く切ってゆでています。
ゆで汁に10分つけたまま冷ますとやわらかく美味しくなります。
ヘルシーな鶏肉を正しく安全に調理して美味しく頂きましょうね!
薄くスライスしてゆでた鶏むね肉(*^。^*)/