この記事は2017年6月9日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.44 2017年6月号
古代から大切にされてきた蜂蜜
いろいろな健康法、健康食品が流行っては消えて行くなかで、蜂蜜が美容と健康に良いと言われる事は昔から変わっていません。
遠いずっと昔、古代から、蜂蜜は健康食、美容食、薬として、大切にされてきたのです。
食べると元気になる、しかも良薬なのに、口に甘しで嬉しい、黄金に輝き美しい、腐らない・・・・。
などなど、人は蜂蜜パワーに魅せられ、それはそれは貴重品扱いしたことでしょう。
これほどまでに長い間、愛され続けてきた蜂蜜について、食品に携る者として、触れずにはおれません。
ミツバチは人間よりも歴史がある
蜂蜜がミツバチによって作られる事は誰でも知っていますよね。
そのミツバチは人類が誕生する、遥か昔から生息していました。
そして、人類がまだサルだった頃から、蜂蜜を食べていたそうです。
ですから、タイトルのように「蜂蜜の歴史は人類の歴史」となるのです。
これはイギリスのことわざです。
蜂蜜ができるまで
ミツバチは、花から花へと(こんな歌ありましたよね笑)移動しながら、花の蜜を吸って胃の中をいっぱいにして巣に持ち帰ります。
人間でいえば、原料仕入担当ですね。
次に、巣で待っていた製造担当に花の蜜を口移しに渡します。
製造担当は、巣の中で、原料の花の蜜を、製品の蜂蜜に仕上げていきます。
製造工程としては、暖かい巣の中で羽ばたいて風を送る、口で花の蜜をかきまぜる、などして、花の蜜に含まれる水分を蒸発させ、濃い蜜にしていきます。
成分も、ショ糖からブドウ糖と果糖に分解され、できあがるのが蜂蜜です。
巣の中で作られた蜂蜜は、巣にいる働きバチや、オスのハチ、幼虫のエサになります。
これを、人間が横取りしてしまうのはなんだか申し訳けない気持ちになりますが、自然の恵みを感謝しながらいただきたいと思います。
蜂蜜の成分
蜂蜜の成分は、果糖が約40%、ブドウ糖が約30%、水分が約20%、オリゴ糖が約7%、残りがその他の成分となります。
果糖とブドウ糖は、分解され尽くした単糖類ですから、体の中ですぐに吸収されます。
そして、ブドウ糖は脳のエネルギー源になります。
昔ながらの養蜂システムがベスト?
甘くて美味しいだけでなく、美容と健康に良いと重宝されてきた、長い歴史を持つ蜂蜜ですが、人工的に製造することは可能なのでしょうか?
今も、ミツバチに蜜を集めさせる養蜂が主流なのはなぜでしょうか?
ある番組で、人工蜂蜜作りに挑戦したところ、10人の人間が10時間かけて採取した花の蜜は、約0.5gで、そこから水分を除いた半分の0.25gが蜂蜜となります。
これは、一匹のミツバチが一日に集める花の蜜の量だったそうです。
これでは、蜂蜜は、大変高価な物になってしまいます。
そして、花の蜜のショ糖を、人工的にブドウ糖と果糖に分解できても、ミツバチによって分解された蜂蜜のようにはいきません。(私の見解です)
自然な蜂蜜は、ミツバチの唾液の中に含まれる酵素によって分解され、有機酸、ビタミン、ミネラルを含み成熟しています。
自然の力でできた産物の味や効能が、やはり一番良いとして、古代から一貫して今もなお、蜂蜜作りはミツバチにお願いしているのだと思います。
本当に貴重な蜂蜜
ミツバチは、生まれてから20日間は、巣の中で働きながら、羽根を鍛えます。
その後、10~20日間の採取飛行をして短い寿命を迎えます。
ミツバチが一生かかって採れる蜂蜜の量はティースプーン一杯、わずか5g程度です。
働きバチの恵みに感謝して大事に頂きたいと思います。
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