この記事は2013年10月17日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.8 2013年10月号
特産品を利用したお菓子
今回は、全国菓子大博覧会(前回紹介)を参考に、我が町銚子の特産品について考えてみたいと思います。
今回の菓子博では、開催地である広島の特産品レモンを使った多種多様なお菓子が印象的でした。
「広島レモンスイーツ商品開発プロジェクト」により、「もみじ饅頭」に続く新たな広島銘菓の開発・販売に力を入れているからです。
地元の特産品を素材にしたお菓子、そんな事はもうどこの町でもやっている事だと軽視しがちなのですが、①複数メーカーが参加し、自由な発想で多種多様な商品を出している事 ②菓子の売れ行きに伴い広島産レモンが消費される事 ③結果、広島産レモンが特産品として有名になる事。
と、特産品を素材利用する事は、ごく自然な事であり、地元活性化の為にも重要な事であると改めて感じました。
同じく特産品素材の利用と言う点で、私が注目している物に、西船橋の小松菜パウダーがあります。
特産品の小松菜を粉末にする事で利用の幅が広がり、地元飲食店によって商品化、アピールが展開されています。
また、「小松菜」だけより「小松菜パウダー」と聞いた方が、小松菜の印象が強く残ります。
大事なのは、1つの素材を皆で利用=アピールしているという点です。
銚子バーガーの開発まであと一歩
ところで、私は、今、銚子ならではの魚を使った「銚子バーガー」の開発をしています。
ところが、自分で魚から調理をするとなると、工場内に専用作業スペースを確保しなければなりません。
手軽に利用できる加工品があれば良いのにと思っているのは私だけではありません。
魚離れの大きな原因に、調理が面倒、骨があり食べるのが面倒、とあります。
魚から調理してもらい、骨を上手によけて食べてもらう事が理想ではありますが、栄養のある魚を食べてもらう事を急務だと考えますと、手間いらずの加工品は嬉しい存在です。
そして、「小松菜パウダー」のように、例えば、「いわし」よりも「いわしハンバーグ」の方が、特徴的であり、ひいては「いわしの町」として印象付ける事ができます。
その為にも、町の誰もが気軽に素材利用できる、共通銚子ブランドとも言える商品を1つ、作って頂けると非常に嬉しいです。
例えば、色々な魚屋さんで「いわしハンバーグ」を商品化し、色々なお店で素材として利用します。
いわしハンバーグカレーやいわしバーガー・・・など。
料理人にとって、加工品を使う事は論外だとお叱りを受けるかもしれませんが、料理人ならではのこだわりの「いわしハンバーグ」を作られても良いと思いますし、プロの腕と経験を生かして頂けたらと思います。
理想はこうです。
銚子で獲れた魚を⇒銚子で加工して⇒銚子で調理する
獲る人×加工する人×調理する人=多種多様な商品=銚子の特産品のアピール
1つの素材を皆で利用し、自分の持ち場をてんでんにしっかり成す事で、ご当地の特産品を打ち出し、アピールできたらいいと思います。
「銚子のてんでんしのぎ」は悪い言葉じゃない
「銚子のてんでんしのぎ」という言葉があります。
この言葉は、悪い意味に例えられる事が多いですが、私はそうは思いません。
「てんでんにしのぐ」という事は、各自が自分の得意分野で最善を尽くせば最終的に最高の結果が得られる、という良い意味になると私は信じています。
大切なのは、同じ方向を向いて、まとまるべき時にそうできるかだと思います。
今回は、いわしを例にしました。
お菓子に魚を利用する、という課題については、別の機会に考えたいと思います。