この記事は2017年12月16日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。
コラム『おいしい おしゃべり』VOL.50 2017年12月号
食品の信頼性
人間は、食べ物を食べなければ生きてはいけません。
時間がないので調理済みのお惣菜を買う人、できるだけ自分で料理をする人、自家菜園を持っている人・・・・。
食べ物を口にするまでの過程は様々です。
私は、安心素材にこだわり、自給自足を夢見ますが、田んぼで米を育てたり、豚や牛を飼育したり、魚を獲ったりすることは、どんなに頑張ったとしても無理な話です。
大豆を育てる人、豆腐を作る人、納豆を作る人、それぞれ専門の人が絶え間なく作ってくださっているから、安定して買うことができています。
米や野菜や肉や魚など、自然の恵みを人間のために確保してくださる人、それらを食べやすいように調理加工してくださる人など、それぞれのプロの方が手掛けてくださるから、私達は毎日、色々な食品をその日の気分で好きな時に自由に買うことができ、それを食べています。
このことは当たり前のようで、とても素晴らしく感謝すべきことだと思います。
原始人が聞いたら驚くでしょう。
私も人間ですから、食べ物を食べます。
そして、食べ物を作る側の立場でもあります。
時々、自分の職業の責任の重さに押しつぶされそうになることがあります。
なぜなら、人様の口に入る物を作っているのですから。
自分が口にする食品がどのように作られているのか気になったことはありませんか?
健康志向の方が増え、また、食物アレルギーの方などは命にかかわりますから、その食べ物が何からできているのか、どのようにして作られているのか、気になると思います。
作っているところをずっと見ていられるわけではないので、一番の手掛かりになるのが、原材料表示になります。
原材料表示は法律で定められていて、年々、記載すべき情報が増え、消費者にとってメリットが多くなってきています。
ただ、専門的な知識がないとわからない名称や、ざっくりとした記載がまだまだ多いので、完璧ではありません。
ですが、食べ物の手掛かりは、今のところ原材料表示でしかありません。
こうしたとき、私は、食べ物を選ぶときの、もう一つの判断基準を持っています。
それは、誰が作っているのか?です。
自分が食べる食べ物をどのように作られているのかを、ずっと見ていることはできません。
ですので、私は、作っている人を信用できる、信頼できるなら、OK!としています。
それは、原材料表示よりも信頼しています。
それに、お蕎麦屋さんやレストランは、原材料表示はありませんから、やはりその店の店主さんや奥様が信頼できる人であれば、安心できませんか?
信用できる人、信頼できる人、もっと大きく言うと、信頼できるブランドです。
食品の信頼性、ブランドとは、そういうことだと思います。
人様の口に入る食べ物を作る職業であるということを自覚しながら、今年を締めくくりたいと思います。
私のつたない文章にお付き合い頂き、今年も一年大変お世話になりました。
良いお正月をお迎え下さいませ!