この記事は令和3年(2021年)12月8日に地域日刊紙『大衆日報』に掲載されたものです。(コラム『おいしいおしゃべりNo.98』)
写真:銚子犬吠埼灯台
日本でお歳暮の習慣が始まったのは室町時代といわれています。
調べてみると、お歳暮の始まりは歳神様(としがみさま・年神様とも書く)に関係していました。
歳神様とは、一年に一度やってくる穀物の神様です。
穀物は命に直結する大切な食べ物であり、子孫の繁栄でもあり、それは国家の安泰であり、穀物が充分に実るよう五穀豊穣祈願はお願い事の代表でもあります。
各家々では、年の始めに歳神様をお迎えし、その年の豊作祈願を行いました。
私が「豊作祈願をする」、ではなく、「豊作祈願を行う」としたのは、年末にすす払い(掃除)をして、門松を立て、床の間や神棚に松を飾り、鏡餅や酒をお供えして丁寧に歳神様をお迎えするという「行事」として重みを表したいためです。
これらの一連の行事は「正月飾り」として今も残っていますね。
今回、歳神様について調べていると、とても嬉しい発見をすることができました。
一説には、「歳神様は初日の出とともに来られる」だそうです。
とすると、そうです!
日本一早い初日の出の町である銚子に、歳神様は日本一早く来られる。
ということになります。
「日本一早く歳神様をお迎えする町銚子」。すごいですね!
このように、本来お正月とは、歳神様をお迎えする行事のことで、門松は歳神様を家に迎える目印となり、
鏡餅やおせちは歳神様へのお供え物でした。
そして、嫁いだ娘や分家した親戚が実家や本家の歳神様に、酒や餅をお供えしに訪れたのがお歳暮の始まりといわれています。
江戸時代になると、武家社会では目上の立場の人への贈り物となり、商人社会ではお得意先への挨拶回りの贈り物としてお歳暮の習慣が定着しました。
現代でもお歳暮の品に食べ物が多いのは、もともとが神様へのお供え物である酒や魚や餅から始まっているからだと思います。
また、正月行事の本来の意味が五穀豊穣祈願であり、人と食べ物は切っても切れない一番身近な関係であるという事がいつの時代も人間の心の中にあるのかも知れません。
忙しい現代人でも、一年に一度は元気なお顔を見て確かめ合う良いきっかけとしても、暮れのご挨拶は私は素晴らしい習慣だと思っています。
真心を贈ればお互いに寒い冬もあたたかい気持ちになりますね。
当店では、真心を込めてお菓子をお作りしています。
ぜひ、年末年始のご挨拶にご利用下さいませ。
皆様、今年も一年間大変お世話になりました。
風邪にお気をつけて元気にお過ごしくださいませ。
真心をこめて作ったピーナツ木の葉パン